2025年度 各電力会社における再生可能エネルギー出力抑制の見通し
1. はじめに
2025年度の再生可能エネルギー出力抑制(以下、出力抑制)の見通しについて、全国10電力会社が発表した数値をもとに、各社の傾向と背景を分析する。再エネ導入拡大の影響に加え、政府の出力抑制緩和策(出力抑制パッケージ)の導入による影響も考慮し、地域ごとの特性を踏まえて整理した。
2. 出力抑制の定義
出力抑制とは、電力の需給バランスや系統容量の制約により、再生可能エネルギーによる発電を一時的に止める措置を指す。特に太陽光発電の導入が進む地域では、日中の過剰発電を抑制する必要性が高まっている。
3. 各電力会社の出力抑制予測(2024年対比)
以下の表は、2024年および2025年の年間出力抑制率(旧ルールオフライン・オンライン、新ルール、無制限・無保証の合算)と傾向をまとめたものである。
電力会社 | 2024年合計抑制(%) | 2025年合計抑制(%) | 増減傾向 |
---|---|---|---|
北海道電力 | 0.96 | 1.38 | 増加 |
東北電力 | 7.88 | 8.87 | 増加 |
東京電力 | 0.00 | 0.366 | 初抑制 |
中部電力 | 2.08 | 1.55 | 減少 |
北陸電力 | 4.53 | 9.16 | 大幅増加 |
関西電力 | 6.27 | 1.79 | 大幅減少 |
中国電力 | 20.82 | 15.83 | 減少 |
四国電力 | 24.30 | 13.87 | 減少 |
九州電力 | 36.80 | 36.40 | 高止まり(横ばい) |
沖縄電力 | 0.86 | 1.06 | 微増 |
4. 地域別の分析と傾向
(1) 出力抑制が増加した地域
- 北海道電力:特に無保証や旧ルールオフライン案件で増加。
- 東北電力:オフライン型の増加が主因。
- 北陸電力:すべてのカテゴリーで抑制率が倍増。
- 沖縄電力:小規模ながら増加傾向。
(2) 出力抑制が減少した地域
- 関西電力:中国・四国電力:出力抑制率が大幅に減少。
- 四国電力:旧ルールオンライン、新ルール、無保証すべてで顕著な改善。
- 中部電力:微減ではあるが抑制緩和傾向。
(3) 特殊事例
- 東京電力:初めての出力抑制発生。今後の推移に注目。
- 九州電力:引き続き全国最高水準の抑制率。依然として抑制が常態化。
5. 出力抑制パッケージの影響
2024年度より導入された政府の「出力抑制パッケージ」は、
- 既存火力発電の出力抑制(最大5割まで)
- 昼間需要の創出(エコキュートの運用見直しなど)
- 系統制御の高度化
などを通じて、実質的に抑制の発生を抑える方向に作用している。
ただしこの政策の本来の目的は「出力抑制の削減」ではなく、更なる再エネ導入の受け皿整備にある点は留意が必要である。
6. 今後の課題と展望
- オフライン型制御の比率が依然として高い地域(例:東北、北陸)では、オンライン化の推進が喫緊の課題。
- 系統運用のデジタル化や需給調整力の強化(AI予測の導入、蓄電池活用等)が急務。
- 高抑制地域では、蓄電池やデマンドレスポンスとの併用による解消策の導入が必要。
7. 結論
2025年度に向けた出力抑制の見通しは、地域によって増減が分かれる結果となった。政府のパッケージ施策が一定の効果をもたらしている地域もあるが、抑制の本質的解決にはさらなる制度設計と系統運用の高度化が不可欠である。
特に抑制率の高い地域においては、事業者の経済的リスクを軽減するためのルール整備(補償制度や蓄電支援等)が急務であり、今後のエネルギー政策と調和した運用が求められる。
送電網と蓄電設備にもっと力を入れるべきだと思います。原発は廃炉のの道筋を明確にすることや、世界情勢の無秩序化?で狙われないとも限らない
中 一基でも事故が起きれば その後始末にかかる経費は数十兆と莫大です。 人口の減少による税収の縮小もあると思うので将来のインフラ投資を今のうちになるべく分散せずに集中すべきです。
蓄電設備については、私も基本的にご意見に同意いたします。特に現時点では、固定電池の本格的な実用化にはまだ時間がかかると見ており、それまでは大きな進展は期待しにくいのではないかと感じております。
一方で、送電線の整備に関しては、賦課金のあり方に若干の疑問を感じています。これはあくまで私個人の見解ですが、本来、高額FITを享受している事業者が負担すべきコストについて、再エネの名の下に広く国民全体に転嫁されているようにも見えます。財務省による財源確保の一手段として利用されているように感じてしまうのです。もっとも、制度全体として見れば、40円FITの時期に送電網の整備も資金的には織り込まれていた面もあったのではないかと考えております。
原子力発電については、非常に難しいテーマであることは重々承知しております。ご指摘のように、たった一基の事故が甚大な被害をもたらすリスクは無視できません。ただ、私の考えとしては、すでに建設され稼働実績もある設備を、リスクがあるからといって長期的に休止したままにしておくことにも、また別の意味でのリスクや機会損失があるのではないかと思っています。現存設備については、安全性を再確認したうえで、一定の条件のもと活用を検討してもよいのではないかという立場です。
とにかく、電力料金を下げることは急務ではないかと思っております。電気代が下がれば、家計も企業活動も助かり、その分、消費や投資が喚起されて経済全体にも良い影響があるはずです。
また、人口減少とGDPの縮小との関係についても、私は必ずしも直結するとは考えていません。適切な経済政策がとられれば、人口が減少していても、生産性や所得の向上により経済成長は十分可能だと思っています。消費の活性化が成長を牽引し、それが結果として税収の増加にもつながるのではないでしょうか。強いては豊かさが少子化の解消につながるものと信じております。
今の日本は、過去30年にわたり、緊縮志向の政策が繰り返されてきた印象を持っていますが、こうした「重税、引き締め一辺倒」の方向性が将来世代に対してかえって重荷を背負わせることになるのではないかと心配しております。